長いから、ヒマなら読んでね。

仕事から戻るとポストに携帯が。見るとそれは父親のもの。
「なにかあるのだろう」と判断して放置。


母親がどこぞのホテルの食べ放題バイキングへ出かけているので、コンビニ弁当を買出しに。
お弁当を温めてもらっている最中に、ひげそりの替え刃を買わなくてはいけない事を思い出す。
残念な事にここには置いていない。食べ物を自転車のカゴに置いておくのは怖い。かといって、匂いを撒き散らしながら入店するほどDQNでもない。
仕方が無いので、家で食事を済ませてから薬局へ再度出かけることにした。


ふと気付くと、ポストの中の携帯が無い。でも家には誰も帰ってきていない。
なぁ「なにかあったのだろう」と放置(ヲイ)。


自転車を漕いであっついのでシャワーを浴び始めたところへ電話。
他には誰もいなかったので、バスタオルだけ巻いて受話器を取る。
「はい、かづきです」
『あぁ、○○だけどもぉ、ポストに入れといたんだけんどもぉ、携帯どうだったぁ?』
ご近所さんからの電話。
漏れのエニアックを遥かに超える頭脳で瞬時に判断。どうやらこのジジイが父親の携帯を拾ってくれたらしい。
でもそれなら何故持ちかえったのだろうか。「どうだった?」って何だよ。
「あ、漏れの携帯だ。こんなとこにあったんだ〜」って確認した後もポストに入れっぱなしにするかよ。ツッコミどころ満載。


「すいません、父はいまいないんですが」
『…………あぁ、そうなのかい。……連絡は出来ねぇかなぁ?』
お前が携帯を持ってるんだろう?!行き先なんて知らないし!
「ちょっと無理なんですけれども」
『あぁ、そうかい。じゃあ戻ってきたら伝えてくれるかなぁ』
何を伝えるのか、という事は漏れが自分で推理・補完するわけですね?
「はい、わかりました。どうもありがとうございます」


やれやれ、と脱衣所へ戻る。
すると玄関のドアをノックする音が。チャイムも鳴らしていなければ、「ごめんくださ〜い」の声もない。
相手が誰なのかは薄々感付いているけれど、電話を切ってから30秒くらいしか経ってませんよ?「戻ってきたら伝えて」はどこに消えたの!
玄関からは見えない位置で「帰れ!帰れ!」と念じる裸の漏れ。
それが通じることなく、ドアはゆっくり開かれた。


「ちょお〜っと待っててくださいねぇ〜!」
「あ、すいませんっ!」女の人かよ!
あわてて濡れた体に直接、ジーパンとTシャツを身につける。超気持ち悪い。


玄関先に立っていたのは、電話をくれたジジイの家の嫁とその息子。届けてくれた携帯はたしかに父のもの。
話を聞いてみると、小学生の息子さんが遊んでいたところ、車庫を出た父の車からポトリと落ちたんだそうだ。
……じゃあ誰の携帯か100%わかってんじゃね〜か!おまえら一家そろってバカか?アホか?
ポストに入れておけばそれで済むじゃん。気になるならメモに状況と名前を書いて添えておけよ。


何よりね〜、田舎の習慣なんだろうけどさぁ、他人の家のドアを勝手に開ける思考回路が理解不能
アンタら普通にやってるんだろうけど、きっとどの国でも法に触れるからやめなさいな。
ほんっとに気持ち悪くてしゃ〜ない。せめて声をかければ良いだろう?


なんて言えるはずも無く、笑顔で「どうもありがとうございました」と見送ったのだった。
教訓:パンツ無し+濡れた体+ジーパンは気持ち悪い。